博士修了生の採用に関する日本企業の意識調査

本調査の目的

博士課程学生の修了後のキャリアとして、産業界が重要な選択肢となり始めています。ここでは、産業界へ進むことを検討し始めた博士課程学生や、彼らを指導・支援する大学教職員のために、企業が博士修了者に何を望んでいるかを調査した結果を示します。

これまで、博士修了者に企業が望む資質や能力に関して、企業関係者と大学関係者(博士学生、教職員)の意識に乖離が見られることが有りました。その一因として、従来公表されてきた企業への調査結果が、学部卒・修士修了・博士修了を明確に区別したものではなかったことが挙げられます。今回は、博士修了者に特化して、企業へのアンケート調査を行いました。

本調査は、東北大学・高等大学院機構・大学院改革推進センター・博士人材育成ユニット(PhDC)が、2022年9月にパシフィックスターコミュニケーションズならびに株式会社日本能率協会コンサルティングに依頼して実施したものです。

 

本調査の結果(要点)

企業が博士修了者に期待しているのは、「研究推進、課題設定・解決方法の発案、研究分野の高い専門知識」等、博士学生が日常の研究活動の中で鍛え上げて身につける資質・能力・知識であることが明らかになりました。これらは、学部・修士に求められる、いわゆる「社会人基礎力」とは大きく異なっています。

一方で、博士修了者に不足しているものとして、「柔軟性」、「部門内・外との高いコミュニケーション能力」、「文系・理系の枠を超えた知識と教養」が挙げられていました。

以下に、調査項目毎の主な回答を示します。

 

博士課程修了生に期待する「資質」

・自律的に研究開発を推進する主体性
・失敗を恐れず、新しいことに取り組むチャレンジ精神

-不足している「資質」→柔軟性

 

博士課程修了生に期待する「能力」

・課題設定能力、問題の定型化・解決方法の発案・それを具現化する能力
・特定の技術に関する高度な専門知識とその運用能力

-不足している「能力」→部門内・外との高いコミュニケーション能力

 

博士課程修了生に期待する「知識」

・研究分野における高い専門知識
・専攻分野における専門知識

-不足している「知識」→文系・理系の枠を超えた知識と教養

 

外国人博士課程修了生の採用

55%以上の機関が高い日本語レベル(JLPT N2以上)を求め、採用プロセスも60%以上が日本語のみの対応

 

大学に期待する仕事と直結した科目

・数理・AI
・プロジェクトマネージメント
・プログラミング(C++, Python等)

 

調査結果の詳細なデータ

本調査に関する詳細は以下のリンクよりご覧ください。

博士修了生の採用に関する日本企業の意識調査(報告書)

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