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受賞・成果

岡田篤さんの筆頭著者論文が米国科学アカデミー紀要に掲載されました

MDプログラム1期生の岡田篤さん(電子工学専攻 D3:日本学術振興会特別研究員)が筆頭著者をつとめた論文が2017年3月24日付で米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)オンライン版に掲載されました。

この研究で岡田さんの所属する東北大学の研究グループはシンガポール南洋理工大学と日本原子力研究開発機構と共同で、不揮発性磁気メモリー(MRAM)の材料として注目を集めている強磁性体薄膜のCoFeB/MgO接合を用いて、強磁性体薄膜中の磁化運動に影響を与える散乱機構を明らかにしました。
MRAMは電力を使わずに磁力でデータを保持することができるメモリで、デバイスの省電力、高速大容量化などにつながる性質を持つことから、多くの研究開発が行われています。その中でもMRAMをはじめとした磁気記録デバイスではNS方向(磁化方向)を変えることで情報を書き込むため、磁化の振る舞いの解明が重要なテーマになっています。

今回研究グループは磁化の動きを調べる磁化ダイナミクスの研究で標準的な手法となっている強磁性共鳴法を用い、強磁性体薄膜であるCoFeB/MgOにおける磁化の散乱機構の解明に取り組んだ結果、磁化を運動させた際にこれまで知られていなかった「モーショナル・ナローイング(運動による線幅の先鋭化)」と呼ばれる散乱機構が存在することを明らかにしました。
CoFeB/MgO接合はMRAMの材料として多くの注目を集めているため、今回の研究結果はこの材料系を用いた素子動作の理解と高性能化だけでなく、様々な磁性材料系の性質の理解にも役立つことが期待されています。

岡田さんはこの研究でCoFeB/MgO試料に対して行ったVNA-FMRとcavity-FMRという2種類の測定方法のうち、マイクロ波空洞共振器を使った測定(cavity-FMR)を担当すると共に、実験データの解析でも大きな役割を果たしました。

この研究についての詳細は2017年3月17日に東北大学から発表されたプレスリリースをご確認ください。

インターンシップ先のケンブリッジ大学での岡田さん。
海外インターンシップの経験は今回の研究でのシンガポールの研究グループとの議論に役立ったと言う。