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受賞・成果

松澤智さんの共著論文がサイエンス誌オンライン版に掲載されました

MDプログラム生の松澤智さん(理学研究科 物理学専攻 M2)の参加する研究グループによる論文“Three-Dimensional Charge Density Wave Order in YBa2Cu3O6.67 at High Magnetic Fields”が2015年11月5日付けでサイエンス誌の電子速報版であるScience Expressに掲載されました。

この研究は松澤さんが所属する東北大学金属材料研究所の野尻研究室が米国国立スタンフォード加速器研究所(SLAC)、スタンフォード大学、カナダのブリティッシュコロンビア大学などと共同で行っているもので、東北大学が開発した超小型のパルス磁場発生装置を、SLACの最も強力なパルスX線光源装置の一つであるLCLSと組み合わせることで実現した新しい磁場中X線回折の実験手法により、銅酸化物高温超伝導体(YBCO)において電子が局在して作る電荷の波(電荷密度波)が強磁場中で3次元性をもつことを初めて明らかにしました。

高温超伝導体はマイナス200度以上の高温で電気抵抗がゼロになる「超伝導」状態になることから、その性質を活かし、エネルギー分野をはじめ、輸送分野、医療分野などでの応用が期待されており、多くの研究者がその性質の解明や実用化に向けた研究を行ってきました。
今回の実験結果は高温超伝導体の一つであるYBCOの3次元性を明らかにし、高温超伝導体の性質を解き明かすための重要な足掛かりになりました。今後この現象が高温超伝導体に共通するものかなどの研究を通じて、「夢の材料」ともいわれる高温超伝導体発現のメカニズムの解明が期待されます。
またこの新しい実験手法によって、高温超伝導体以外にも様々な物質の強力な磁場中での変化をとらえることが可能になり、物質・材料科学への幅広い展開も見込まれています。

松澤さんはこの研究の中で、おもにパルス磁場発生用コイルの作製に携わると共に、2015年1月にMDプログラムの海外インターンシップの一環としてSLACでの実験に5日間参加し、測定時の磁場制御に貢献しました。 今回の成果を受けて松澤さんは「今後、強磁場実験技術の開発を進めていくことで、この研究に関してより大きく貢献していきたいと思います。」と抱負を語りました。

海外インターンシップ中のRice大学にて

海外インターンシップ中の松澤さん(米国Rice大学にて)

 

この研究成果についての詳細は以下のリンクでご覧いただけます。

発表雑誌: Science Express (サイエンス誌 電子速報版)
プレスリリース: 金属材料研究所による記者発表(2015年11月6日)